多くの人にとって自分の性格は、
自分のアイデンティティと
一致している感じがします。
つまり、
「自分は性格そのものだ。」
という具合です。
本当にそうでしょうか?
心の癖、習慣となっている動き、
つまり、
性格というのはどのように
形成されるのでしょうか?
人の性格は、生まれつき
決められたもののように
思っている人も多いでしょう。
もちろん遺伝やその生まれ持った
要素もあるでしょうが、
それ以上に大きいのが環境
という要素と言われています。
どんな環境の中で育ち、
物事をどう捉える癖がついているか、
それが性格を形成する大きな要因
となっているのです。
前回、ユングさんは性格の定義として、
「習慣となって形成された心の働き」
と説明したと紹介しました。
つまり、
その人がついしてしまいがちな
考え方の癖のようなものです。
性格と脳の関係
例えば、
喫煙の習慣が癖になっている人
がいるとします。
誰もが生まれ持ってタバコを
吸いたいとは思わないでしょう。
育ってきた環境によって
喫煙の習慣が付くものですね。
そして日常の中で、繰り返すことで
タバコを吸うことが当たり前となる。
つまり、喫煙はただの癖です。
思考や感情も同じように
習慣が形成されていくのです。
最近では脳科学の進歩によって、
性格の形成には脳の
前頭前皮質と扁桃体の連携
が、大きく関わっている
ことが分かってきました。
前頭前皮質というのは、
思考や意思決定、行動などを
司る働きがあり、
いわば脳の司令塔ともいうべき
部分です。
そして扁桃体は感情表現について
影響の強い役割を持っており、
この双方のスムーズな連携が
状況にあった判断や行動を促すように
指示を出しています。
だからこそ、
この脳の機能によって、
生まれつきどんな脳が発達するかで
性格も変わってくるのでしょう。
しかし、
この連携を育むのもやはり環境なのです。
先天的VS後天的
もちろん、家庭環境が脳の発育に
最も大きな影響を与えることでしょう。
例えば、
何か未知の新しいことが起こった時に、
家族メンバーが
「あー怖い」「なんだか嫌だ。。」
という拒絶的な反応をする
家庭に育った子供と、
家族メンバーが
「これはなんだろう」
「これは新しい経験だ、面白そう」
という反応を示す家庭に育った子供では、
未知の出来事に接した時の対応が
全く違う性格に育っていくはずですね。
人間は学習動物です。
何かを真似て学ぶことで、
自分の行動を形成するものです。
もちろん、
ある程度の動物的本能として、
未知のものに出会うと恐怖を感じる。
という部分はあるでしょう。
大昔に狩をしていた時から
培われた本能です。
しかし、周囲の人間の反応を見て学び、
子供は真似をするようになります。
先ほどの例であれば、
前者の子供は未知のものに出会った時、
不安や緊張を覚えるように習慣化されます。
そして大きくなってからも、
初めて接する人やもの、場所に対して
警戒して引っ込み思案になる癖がつき、
そうした状況に消極的な性格が
作られやすくなります。
性格はこうして変わってしまう
後者の子供の場合は反対に、
未知のものに対して肯定的な
イメージで捉える環境にいるため、
この子自身も新しいものへの
不安や緊張を感じない癖がつきます。
その後、新しい出来事に出会った時に
それを前向きに捉えるようになり、
自分から積極的に踏み込んでいける
性格になるでしょう。
前者の子は成長すれば
「あの人は消極的でおとなしい」
という印象を周囲に与えるでしょうし、
後者の子が成長すれば
「フレンドリーで明るくて積極的な人だ」
といった印象を与えるでしょう。
つまり、
その背景には、それぞれに
長い時間をかけて作られてきた
心の働き方の習慣やパターンがあるのです。
つまり、
それこそが性格なのです。
もちろん、似た環境で育ったはずの
兄弟姉妹であっても性格が違うこともあり、
環境だけで全てが決まる
わけではないでしょう。
でも性格というのは、このように
生まれつきのものというだけでなく
後から作られる部分も
非常に大きいというわけです。
性格は変えられる?
例えば同じ映画を見ても
「主人公の深い愛情に心を打たれた」
と感じる人もいれば、
「あの舞台の街の景色は素晴らしかった」
という感想を持つ人もいます。
視点の癖、こうしたものの捉え方も、
心の習慣となっているのです。
そして、
性格が後天的に作られるならば…
ここに性格心理学を学ぶ
大きな意義がある訳です。
人間の癖は全て良いものとは言えません。
例えば、先ほどの喫煙の癖の例。
喫煙が体に悪いと知った人は、
長年慣れ親しんだ喫煙の習慣を断ち、
喫煙する新しい習慣を持つことも可能です。
性格は遺伝だけで決まるならば、
私たちは変えることはできません。
しかし、環境で決まるのであれば、
変えること、うまくコントロールすること
も可能なのです。
そして、全ての性格は
ただの癖、偏りであると知った時、
人生は全く新しいものとなります。
そしてユングの提唱する性格の
タイプ分けというのは、
この心の習慣、癖を把握することで
分類の根拠とするものです。
そして、性格は固定されたものでなく、
もっと柔軟でダイナミックなものと知る。
心理機能は人生という旅に役立つ、
非常に優れたツールとなるのです。


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