私がアメリカに留学していた頃に
気づいたことがあります。
日本にいる時は、
アメリカでは年末に近づけば、
“Merry Christmas” (メリークリスマス)
と挨拶するのが普通だと思っていたのですが、
“Happy Holidays!” (楽しい休暇を!)
と表現する人が一定数いました。
つまり、
クリスマスはイエス・キリストの
誕生を祝うお祭りですから、
多宗教、多民族国家のアメリカでは、
非クリスチャンたちのためにこういった
表現があるのです。
12月25日に近づけば、 家や街は
クリスマス仕様に変化していくわけですが、
そんな中ユダヤ人家庭では
クリスマスツリーは飾らず、
ハヌカのお祭りの準備をし始めます。
ユダヤ人が歴史や文化を学び、
教育する上で非常に重要な役割を
果たしているのがお祭りなのです。
ユダヤ暦キスレーヴ月(西暦11月 から12月)
からデヴェット月2日 まで25日間祝います。
ハヌカの祭りでは、
「マカビの反乱」の燭台の奇跡にちなみ、
家庭でも燭台を置き、8日間かけ1本ずつ
灯を灯していきます。
私自身、以前アメリカの友人の家で
ハヌカの祭りを過ごさせてもらう
経験をした事があるのですが、
クリスマスやハロウィンとは違い
興味深いものでした。
暗闇に8本のろうそくが揺らめく
贅沢な光の祭りです。
どの国でも祝日はありますが、
ユダヤ人は過ぎしの祭りや仮庵の祭(スコット)
といったトーラーのお祭りの他、
ハヌカや独立記念日のお祭りなど国を挙げて
お祝いし、記念します。
そこからユダヤ人は民族の歴史や
苦悩、知恵などを学び、 また大切な事を
次の世代に 伝えていくのです。
幻想的な雰囲気が特徴の燭台
ハヌカの祭りと言えば、
8本の燭台が有名ですが、
(実際には、種火用の1本があり
9本の燭台です)
ユダヤのシンボルにもなっていますね。
イスラエルで雨期に入り冬を迎える頃、
特に高地にある首都エルサレムは
寒く雪がつもる事も多いです。
12月のある時期が来ると、
家々の窓に置かれた九枝の燭台に
灯火がともり始めます。
これが祭りの始まりなのです。
夕方、辺りが暗くなってから
エルサレムの街を歩くと、
各家庭の窓には光が灯った燭台が光り始め、
それはとても幻想的です。
始めは1本だけ灯っていたろうそくが
日を追うごとに2本、3本 と1本ずつ
増えていくのです。
そしてクリスマスプレゼントのように
ハヌカの期間中毎日子供にハヌカ用の
プレゼントを与える家庭があります。
知人のアメリカユダヤ家庭の子供は
友人たちはクリスマスに1つだけだが
「僕たちは8日間もらえる」と
自慢していたのが印象的です。
ハヌカの祭りの意味と意義
ハヌカ(Hanukkah)
これはイスラエルの歴史上の
ある出来事を記念したお祭りです。
世界中のユダヤ人がこの時期に
同じような儀式でお祭りをします。
宮清めの祭りという別名があり、
「ハヌカ」とは「奉納する」 という
意味があります。
紀元前167年、エルサレムを占領していた
ギリシャ人とユダヤ人との間に戦いがありました。
ユダヤの神殿を奪ったギリシャ人は
ユダヤ人をギリシャ化しようとします。
ユダヤの礼拝や行事を行う事を禁じ
逆にユダヤ教の掟で禁じられている事を
ユダヤ人に強要しました。
そこにエルサレム奪還のために
立ち上がったのが、 ハスモン家と言われる
ユダヤ教の司祭マタテヤとその息子たちでした。
当時、最強の軍事力を誇るギリシャ軍と戦い、
ユダヤ人は奇跡的に勝利します。
そして紀元前164年に神殿を取り戻します。
神殿をギリシャ人の手から解放したユダヤ人は
神殿を清め、 かつてユダヤの神殿に絶えず灯り続けた
灯火を再び灯そうとしました。
しかしそこには、
オリーブ油があるだけでした。
ご存知の通り、料理で使えばすぐに日は消えるはずです。
でも、その残った油に火を灯すとなんと、
1日分の油しかなかったはずの灯火が
8日間もともり続けたのです。
ユダヤ人は火が消えずに燃え続けた
この出来事を神の奇跡と信じたのです。
この奇跡を記念してハヌカの祭りが来ると
8日間、 家の前や通りに面した窓に「ハヌキヤ」
と呼ばれる燭台を置くのです。
そして神様が起こした奇跡を
人々が忘れないようにするために
1日ごとに1本ずつ増やし点火し、
8日目に全部が灯るようにします。
燭台の火は夕方になるとその家の主人が、
祈りの言葉を唱えてから灯を灯します。
こうして8日間灯り続ける火は、
暗い夜の町に輝き続けるので、
光の祭りとも言われるのです。
↓ハヌカの祝い方
五感から歴史を学ぶユダヤ人
さらにこの祭りの間、 四面のコマを回して
コマのどの面が出るか賭けて遊びんだりします。
また、ハヌカには、 「スフガニヤ」と呼ばれる
穴のないドーナツを食べます。
なぜドーナツかというと、
神殿での油の奇跡にちなんで
油で揚げたものを食べるのです。
この時期になると、 イスラエルの街の店には
白い粉砂糖が振りかけた 揚げたての
スフガニヤが売り出され、
町中がとても良い甘い香りがしてくるそうです。
このようにユダヤ教では伝統行事として、
民族の歴史や奇跡の物語を口伝えや本から
学ぶだけでなく、
燭台に灯を灯して視覚から学び、
スフガニヤを食べて味わい、匂い、
そして歌を歌いメロディに合わせて
聴覚、体感でストーリーを学ぶ、
といった具合に五感を存分に使って
記憶するのです。
子供の頃から脳をフルに活用する伝統です。
ちなみに、
この祭りでは裏のニュアンスとして
「同化は邪悪な事だ」 と子供たちに教える事が、
祭りのコンセプトだそうです。
何千年にも及び、他宗教と同化されず自分たちの
伝統を守ってきた知恵がここにあるようです。
子供から子供へ、こうして伝統を伝える工夫が
ユダヤ民族にはあるのです。
「ハヌカの祭り」の意義や意味を知ることで、
ユダヤ人の頭脳の秘密が垣間見れます。


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