体というのは実に精巧に
できているものであり、
実に良くできた仕組みで
健康が守られているものです。
さて、前回までしばらく
理屈っぽい話が続きました、
肩が凝ってきたかもしれません。
ここで一度、 思いっきり伸びを
しながらあくびをしてみましょう。
そして上手くあくびが出たならば
そのときのあなたの心の中を
しっかりと観察してみてください。
あくびをしたいという衝動は、
体の中から湧いてくるように表れます。
以前に紹介したように、
意図してきっかけを
作り出す事は可能です。
しかし衝動そのものを意識が
作り出しているわけではありません。
今回はこうした衝動のメカニズム
について考えてみましょう。
本物のあくびと偽物のあくび
あくびのポーズはあくまでも、
あくびが湧いてくる為の
呼び水であって、
それだけでは本物のあくび
にはならないものです。
もちろんこれでも体内に
酸素を供給できるわけですが、
本来は体の中からあくびの
衝動が湧いてきて初めて、
あくびは成立するのです。
私たちができるのは、
衝動が湧いてくるのを
ただ待つ事だけです。
そして実際のあくびが起きたとき、
顎などの筋肉は、 まるで
勝手に動いているように
感じられるものです。
そして心から「気持ちいい」
という感覚も湧いてきます。
この一連のメカニズムのプロセスが、
ほとんど自動的に進むように
感じられると思います。
これは前に言った生存や本能を
司る古い脳のなせる技です。
気持ちいいあくびと衝動のメカニズム
こうしたときに、
私たちの「意識」は
何をしているのでしょう。
ただ傍観者のように、
勝手に進むあくびのプロセスを
眺めているだけではないでしょうか。
「おぉ、あくびが出そうだ」
「ああ、上手い事出てきた」
「ふわぁ~、気持ちいい!」
など、まるで実況中継でも
するように眺めている感覚です。
自分の体にも関わらず
何か別のものに動かされている
ような感じかもしれません。
あくびの衝動の発生にも、
筋肉の動きにも、
その後の気持ちよさも、
意識は関与していないのです。
これが前回まで紹介した
脳のホメオスタシスの
なせる技なのです。
あくびなどを意識的に抑えるとき…
ただしその気になれば、
意識が決定的な介入を
する事ができます。
これが人体の神秘なのですが、
例えばあくびなら途中で
止める事ができます。
会社で一人でリラックスして
あくびが出そうになっているときに、
いきなり上司が現れたら、
グッとこらえるのでは
ないでしょうか?
「今はあくびをしちゃダメだ」
と判断して、
衝動的な動きを抑え込みます。
これはあまり気持ち良いもの
ではないですが、
こらえようと思えば、
こらえる事ができるものです。
気持ちいいあくびも意識的に
抑える事ができるのが、
人間の脳の複雑な部分です。
これは恐らく他の動物には
真似できない特質です。
意識が介入できるのはなぜ?
意識はもちろん
脳のメカニズムな訳ですが、
あくびの発生や経過にはタッチせず、
衝動が湧いてくるのを眺めている、
そして必要に応じて
ストップをかける、
私たちの意識は、
そんな立場であくびと
関わっているのです。
これは便秘でも同じです。
便意という体の声が出てきた時には
「今は時間が無いから我慢しよう」 とか
「恥ずかしいからトイレに行きたくない」
などと考えて我慢させていたのは
「意識」なのです。
他にも顕著なのは呼吸でしょう。
意識をしなくても呼吸をしていますが、
意識的に呼吸を深くする事もできます。
尿意やのどの渇き、空腹感も、
ある程度なら意識の働きで
我慢できるものです。
こんな風に私たちの意識は、
体の声に対して基本的に
「ブレーキ役」 として
関わっているのです。
声自体は、勝手に
わき上がってくるものです。
その声を受け止めた上で
「ブレーキをかける」
または「かけない」
などと判断するのです。
あくびと意識の脳と衝動のメカニズム
意識を成り立たせているのは、
脳の中の大脳皮質です。
これは脳の一番表面にある
新しい脳です。
つまり体の声を作り出し
衝動として語りかけてくる
視床下部など古い脳に対して、
その声を聞き取り、ときに
ブレーキをかけるのが、
新しい脳です。
私たちの体の中で新旧の
脳の関わりはこうした構図に
なっているのです。
気持ちいい衝動としての
あくびは古い脳のメカニズムですが、
それを意識的に抑えるのが
新しい脳のメカニズムです。
この構図は、 健康や美容、長寿と関わる
「体の声が聞こえなくなる」 という
現象を理解して行く上でとても大事なので、
気持ちいいあくびなどを
意識的に抑える事に、
脳と衝動のメカニズムなど
ぜひ覚えておいてください。


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