ユダヤ人が母国語を学ぶ事、言葉を重視する理由、ユダヤ文学

ユダヤ人、華僑に学ぶ成功の極意

国際化、多様化の今の時代、当然、
日本でも学校で英語教育が行われますし、

ネイティブ並みに外国語ができる人がいたり、
2カ国、3ヶ国語を自在に操れる人も
もちろんいるでしょう。

しかし、

母国語というのはやはり特別で、

日本人なら日本語こそ、思考のベースになる
アイデンティティの根源となるもの
と言えます。

イスラエルの公用語であるヘブライ語は、

旧約聖書の時代から長年にわたり、
ユダヤ人の生活の中で役割や形を
変えながら 維持されてきた特殊な
言語と言えます。

ユダヤ人が母国語を学ぶ事、
言葉を学ぶ事を重視する理由

とはどんなものでしょうか?

以前にも紹介したように、

言語を学習する事に長けたユダヤ人の
多くはトリリンガルで、幼少期から
多言語幼児教育を徹底しています。

多くの日本人はひとつの言語ですら
学ぶのすら困難な中、

なぜユダヤ人は3カ国も
話せるようになるのでしょうか?

そこには特殊な文化的背景があります。

まずユダヤ人は歴史的に世界に
散らばって暮らす民族ですから、

各地のユダヤ人がお互いに
コミュニケーションする言語は
基本的に「英語」になります。

そのうえ、例えば、

フランスに居るユダヤ人はフランス語を
当然乳幼児から叩き込まれます。

ロシアならロシア語、 ドイツならドイツ語
日本なら日本語です。

さらにユダヤ人の母国語であるヘブライ語も
3~4歳から 家庭で勉強します。

だからユダヤ人の多くは自然に
少なくともトリリンガルとなるのです。

なかでも母国語のヘブライ語を彼らは
とても重視すると言われます。

ヘブライ語に隠された優秀さ

言葉こそ民族のアイデンティティを
作り出す基本になる訳です。

優秀なユダヤ人を生み出している
背景にあって見逃してはいけない
重要なポイントのひとつが、

彼らがこだわり守り続けている
母国語である言語、 ヘブライ語

 

にあるのではないでしょうか。

いかに母国語というものが民族を成立させて、
存続させる上で決定的基盤になるか、

それは歴史的ないくつかの例を見れば
明らかです。

この地球上の母国語を失ってしまった民、

例えば、

アメリカのインディアン、
中南米のインディオは

遠い昔にヨーロッパ人に
すべて奪われてしまいました。

そして彼らは英語、スペイン語、
或はポルトガル語を使わなければ
共同体を維持していけないです。

もちろん、
それで得たものもあるでしょうが、
失ったものは確実にあります。

「母国語こそ祖国」

という言葉がありますが、まさに
ユダヤ人の歴史もそれを証明しています。

ただ…

そんなヘブライ語も、 実は旧約聖書の後、
19世紀末に至るまで儀礼や研究には
使われていても、

日常生活で話される事は なかったのです。

しかしシオニズムの流れからユダヤ人独自の
共通言語ヘブライ語が使われるようになり、

コミュニケーションの基盤となり、
ユダヤ文学の世界も世界中に生まれるようになります。

ヘブライ語のアルファベットを見てみよう↓

ユダヤ文学とヘブライ語の文学

国際SILによれば、

ベブライ語の語者人口は、
イスラエルで約490万人
全世界で530万と言われています。

短期間で話者が急増した事から、

「奇跡的に復活した言語」

という形容もあります。

現代ヘブライ語の文学でも、

1966年にシュムエル・ヨセフ・アグノンが
ノーベル文学賞を受賞、

その後も発達を続けています。

近年の世論に影響を与える
アモス・オズ デイヴィッド・グロスマン
などのユダヤ文学だけでなく、

才能豊かな作家により数多くの
作品が生み出されています。

ちなみに、

ヘブライ語ではないですが、
日本語でも御馴染みの

『屋根の上のバイオリン弾き』
『ドナ・ドナ』

 

が書かれたのは、

ドイツ語から派生した
アシュケナージ系ユダヤ人の
母国語イディッシュ語です。

神と言葉の関係

 

英語やドイツ語など、現地語で書かれた
素晴らしいユダヤ人文学作品はありますが、

ヘブライ語文学も発展しているわけです。

さて、

言葉というのは実に不思議な物です。

トーラーの冒頭は
次のような一文で始まります。

“初めに、神は天地を創造された。

地は混沌であって、 闇が深淵の面にあり、
神の霊が水の面を動いていた。

神は言われた。「光あれ。」

こうして、光があった。

神は光を見て、良しとされた。

神は光と闇を分け、光を昼と呼び、
闇を夜と呼ばれた。

夕べがあり、朝があった。
第一の日である。”
(創世記1章1~5節)

 

トーラーによれば、
神はまず天と地を作りました。

では神がこの地球を創造するにあたって
まず存在したものは何だったか?

それは神の言葉なのです。

 

天も地も形のない状況からの
天地創造において、 まず神は
「光りあれ」という言葉を発し、

それによって光が生まれたのです。

そしてその後、神は言葉を発し続け
次々と創造の業を行います。

そしてその中で、土地や空から始まり、
やがて動物や人間も生み出していくのです。

キリスト教の新約聖書には、

“初めに言があった。言は神と共にあった。
言は神であった。 この言は初めに神と共にあった。

すべてのものは、これによってできた。

できたもののうち、一つとして
これによらないものはなかった。」
(ヨハネ伝福音書1章1~3節)

このヨハネ伝はキリスト教の
教典として知られていますが、

元はと言えばキリスト教は
ユダヤ教から派生した信仰で、
これを書いたヨハネはユダヤ人です。

 

ユダヤ人の考えの中で神から与えられた
言葉というものが非常に重要なのです。

そしてユダヤ教ではトーラーに書かれた
神の言葉をとても大切に守り続けています。

それがヘブライ語です。

 

母国語、言葉を守り続けたユダヤ人

ヘブライ語は2千年前に国を失う
前までは、 ユダヤ人の母国語でした。

やがてローマ帝国によって
ユダヤの国は滅ぼされてしまい、
彼らは世界中に散らされてしまいます。

ところがユダヤ人は世界各地に離散し
日常生活は各国の言葉であっても

祈りの言葉やトーラーを読む時は
聖なる言葉であるヘブライ語を用い
それを守り続けたのです。

またユダヤ人の母国語ヘブライ語への
こだわりも徹底していて、

日常、自分たちの使う言語として、
離散している土地の言葉にヘブライ語を
混ぜたもので文字はベブライ語を用います。

例えば、

ドイツや東欧系のユダヤ人が作った
イーディッシュ語、

カスピ海沿岸のタット語、

スペイン系のラディノ、

などがそうです。

それほどまでに民族の母国語である
ヘブライ語を守る事にこだわり続けた
のがユダヤ人なのです。

やがて19世紀末にユダヤ人の
建国運動に伴い、

エリエゼル・ベン・イェフダー

 

という人物によって聖なる書物の
言語であるヘブライ語から、

話し言葉としてのヘブライ語の
復活運動が起きます。

彼らは母国語のヘブライ語こそ
ユダヤ民族のアイデンティティの
基本と信じ、

まず家庭の中から実践しました。

そして、

ベン・イェフダー家族の努力によって、
今日のイスラエルの国語はヘブライ語が
用いられているのです。

 

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