前回、ホメオスタシスという
本能の働きを紹介し、
この無意識の調整をサポートする為に
意識的な工夫をすると紹介しました。
暑い時にエアコンを入れる
というのはその一例です。
「でも、ホメオスタシスは
本能的なメカニズムな訳で、
エアコンのスイッチを入れる事が
本能的っておかしくないですか?」
…という意見があると思います。
確かに、エアコンのスイッチの
入れ方や操作方法が、
私たちの本能にプログラム
されているわけではありません。
でも「暑いな~」と感じた体が、
体温を下げる為に何らかの
アクションを起こしたいという
衝動を発する、
そこまでは動物としての
本能的な働きなのです。
昔の人であればその行動が、
木陰に移る、服を脱ぐ、
扇子や団扇で風に当たる
といった事しか出来なかった
わけですが、
テクノロジーの進んだ現代人
にとっての手段は、
エアコンを入れるという
事になるわけです。
暑さ寒さの体温調節と行動の仕組み
早稲田大学人間科学学術院教授
生理学が専門の永島計さんによれば
こうした仕組みの事を
「行動性体温調節」
と呼ぶそうです。
蛇や亀など爬虫類でも、
気温が暑くなれば木陰や水の中に隠れ、
寒くなれば日の当たる所で
日光浴をするそうです。
これも体温を調節する為の
本能的な行動でしょう。
彼らは体内で熱を作り
体温を維持する事ができません。
だからこそ「変温動物」 と
呼ばれるのですが、
彼らなりの体温を一定に保つ
生物としての本能はしっかり
身に付けているのです。
哺乳類の体温調節の仕組みメカニズム
そして、
体内で熱を作れるために
恒温動物と呼ばれる
哺乳類や鳥類の体にも、
行動性体温調整の仕組みは
しっかりと宿っているのです。
犬や猫を飼っている人なら
見た事があるでしょう。
冬の寒い日に、窓から射す
太陽光が自分の体に当たって
温めるように、
彼らが昼寝の位置をちょっとずつ
ずらしている姿を見かけます。
生物進化の立場から見れば、
「体内で熱を作る」 というより
「高等」なメカニズム を
身につけているのだから、
古いやり方は淘汰されて
消えてしまっても良さそうにも
思えるのですが、
現実には、貴重なエネルギーを
消費して熱を作り出すより、
日が当たる場所へ数歩移動する方が
コスト的に得な事が多いのです。
体温調節は本能と環境の
組み合わせから行動するのです。
ホメオスタシスと人間の行動
こういう理由で人間にも
「旧式」のシステムも並列して
体内に残っているのでしょう。
要は、体の中から
「涼しい方に移ろうよ」
「水が飲みたいな」
という本能的な衝動が
湧いてくるのです。
人間の場合は、たまたま
そんな衝動が湧いてきた後の行動に、
エアコンや水道、清涼飲料水の
自動販売機といった文明的な装置が
関わってくるため、
本能とは縁遠いものに見えるだけで、
暑さ寒さによる振る舞いの
起点となっている体内の仕組みは、
蛇や亀、犬、猫などと共通なのです。
私たちの体内にも、 こういった
動物たちと同様の本能的な仕組みが
根付いているのです。
こうしたホメオスタシス機能で
健康をコントロールしているのです。


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